誰か小野光さんを知りませんか? (2009/05/01掲載)

 昨年当館でリサイタルを開催した左手のピアニスト舘野泉の「ひまわりの海〜セヴラック:ピアノ作品集」という2枚組のCDを、近頃よくかけています。セヴラックはラヴェルと同時期のフランスの作曲家ですが、パリで音楽教育を受けた後は故郷の南フランスの片田舎に住み続けた人です。知る人も少ない作曲家ながら、舘野さんは十代で楽譜を手に入れたほどセヴラックが好きで、以来レコーディングを切望しながら商売にならないという理由で実現しませんでした。仕方なく自主制作を決意したところ、デビュー40周年のお祝いにとワーナーが世界発売してくれたというこのアルバム、聴けば聴くほど味が出るというか、しみじみいいアルバムです。01年の制作ですから脳溢血で倒れる前の年、両手で弾いた今のところ最後のアルバムです。皆さんもぜひ聴いてみてください。
 この2月、渋谷区のムジカーザという小さな音楽ホールのコンサートに行く機会がありました。「坂の上のコンサートZ」と題されたそれは舘野泉のプロデュース。舘野ファミリー総出演で、お客さんも舘野ファンが全国から駆け付けています。この回は舘野さんと親交のあった秋田市出身の作曲家石田一郎の生誕百周年記念コンサートで、ピアノの他に室内楽や歌曲など代表作を網羅したものでした。曲調は多少古めかしいものの、「北国」や「黄昏の林檎畑」といったタイトルからも想像できるように懐かしさと温かさを感じる曲が多く、会場全体がふんわりといい気持に包まれる様が目に見えるようでした。舘野さんは本編では司会進行に徹しましたが、アンコールでセヴラックなど数曲を演奏し、聴衆は皆大満足して会場を後にしていました。クラシックでは日本で初めてファンクラブができたという舘野さんの人柄がそのまま現れたような一夜でした。
 前振りが長すぎました。舘野さんのお母さん、光(みつ)さんのことです。大正2年生まれの95歳。昨年の大館でのリサイタル後に聞いたのですが、光さんは小さい時大館に住んでいたのだそうです。旧姓は小野。眼科医だった父親の勤務に伴い2歳から6歳までいたということですから、大正4〜8年頃になります。市立総合病院でも院長以外に当時の勤務医の名前は残っていないそうなので望み薄かとは思いますが、どなたか小野さんというお医者さんを知らないでしょうか。光さんという女の子を知らないでしょうか。どんな小さなことでも構いません、文化会館まで情報をお寄せください。電話(49)7066まで。

■チケット発売情報
・6月19日(金)「マリノ・フォルメンティピアノリサイタル」本日発売!
・7月19日(日)「弘前交響楽団大館公演」5月23日(土)発売予定。
・7月26日(日)「おおだて特選落語会特別編」5月24日(日)発売予定。
詳しくは次回お知らせします。「爆笑!!お笑いバトル」と「ベンチャーズ」も好評発売中です。 (陽)