文化会館は何ができるんだろう (2007/12/14掲載)

 先日のニュースには驚きましたね。全国学力調査で秋田県の小学6年生が全科目で日本一。秋田県がらみの報道では近来にない明るいニュースでした。さすがは狩野享吉や内藤湖南を生んだお国柄と言いたいところですが、43年前の調査ではほとんどの科目が平均以下だったそうで、各種報道を見ても不思議に思われているようですね。

 私見では、理由の第一は急坂を下るような秋田県の少子化の進行でしょう。見渡せば10年前の半分くらいしか生徒のいない小学校がいかに多いことか。統合だとか廃校だとか、あるいは部活が組めないとか、とかく暗い面ばかり見てしまう少子化ですが、先生方の目が生徒ひとりひとりに行き渡るというプラスの面もあったということではないでしょうか。

 とまあ勝手なことを考えるのも、前回の(工)執筆の桜町通信に引き摺られたせいかも知れません。子ども向けの事業はほんとうに難しくて、何年やっても試行錯誤のただ中にいる状態です。何とか成果を上げられたかと感じるのは、共催で開催したファミリー向けのうたのお兄さんのステージとか、参加型の事業である「ピアノマラソン」や「ジュニアコーラス」を継続できていることでしょうか。

 反面、なかなかうまくいかないのが、一流の舞台芸術を子どもたちに観てもらうことです。ショパンコンクールやチャイコフスキーコンクールの優勝者など超一流といっていい演奏家のリサイタルを、高校生以下には半額以下の料金で提供してもなかなか来てくれないのが実情で…。もっとも大人もあんまり来てくれないんですけどね。

 こんな時他人のせいにしたくなるのは人情の常ですが、それでは物事が前進しないのも事実で、自分たちに足りないものはなにかと考え込む今日この頃です。

 まず考えられるのは、自主事業が惰性に陥っていないかということ。新しい事業や宣伝がはじめはうまくいっても、だんだん最初のひたむきさが失われてルーティン化するというのはありがちなことです。常に新しいことに挑戦する気持ちをもって文化会館の運営や事業実施に取り組むことが大事なことでしょう。

 自主事業でいえば、予算の確保が年々厳しさを増して、市民に幅広く鑑賞・参加機会を提供することが難しくなってきています。これまでも他の会館に比べ少ない予算で圧倒的に多い自主事業を行ってきた自負もあり、市民の皆さんに喜んでもらえている実感もありますが、状況が厳しいのは文化会館だけではないのですから、厳しい中で何ができるのか、改めて一から考え直してみたいと思います。

 市民の皆さんに直接楽しみとか喜びを感じてもらえる仕事ができる立場はそう多くないでしょう。ありがたいことです。ということで、本年のご愛顧ありがとうございました。来年も頑張って仕事をしていきますので、どうかよろしくお願いします。あ、23日のピアノマラソンには大館ジュニアコーラスも出ますので、ぜひ観に来てください。 (陽)