上原彩子が遂に登場 (2007/07/06掲載)

 6月にモスクワで開催された第13回チャイコフスキー国際コンクールのバイオリン部門で、日本の神尾真由子さんがみごと第1位に輝きました。バイオリン部門では90年の諏訪内晶子さん以来2人目、他部門も合わせると、98年声楽部門(女性)の佐藤美枝子さん、02年ピアノ部門の上原彩子さんに続き4人目となります。日本人はこれで3大会連続の第1位受賞です。名前を並べていま気がつきましたが、日本人優勝者は全員女性なのですね。

 このチャイコフスキーコンクールやショパンコンクール、あるいはロン=ティボー、エリーザベトなどの大きなコンクールの優勝者には綺羅星のような名前が並んでいる反面、今では消息を聞くこともない人もいます。時々勘違いをしている人もいるようなので書いておきますが、コンクールは世界一の演奏家を決める大会ではありません。年齢制限があることからも分かるように、若手の登竜門なのです。入賞すればいくつもの演奏機会が与えられますが、そこからは聴衆の厳しい目に適う演奏をし続けなければ消えるしかないという、険しいプロの世界が待ち構えているのです。神尾真由子がんばれ、とエールを送ります。皆さんもこの名前、覚えていてくださいね。

 さて、今回の本題は9月15日にリサイタルを行う上原彩子さんです。チャイコフスキーコンクールのピアノ部門歴代の優勝者は、第1回のクライバーンをはじめ、アシュケナージやベレゾフスキーなど大物の名前が並んでいますが、上原さん以外は全員男性。上原さんはピアノ部門でただ一人の女性優勝者なのです。ちなみに今回は1位該当者なしでした。

 優勝してからの上原さんはフランスに居を構え、世界を舞台に演奏活動を行っていずれも絶賛を浴びています。CDもEMIクラシックスと契約して世界発売されています。現在日本でもっとも集客力のあるアーティストのひとりと言えるでしょう。私生活でも一昨年結婚、昨年の出産を経て一段と充実した演奏が期待されます。

 今回のリサイタル開催を発表したところ、多くの人から「上原さんをよく呼べたね」という言葉をいただきました。実際、引く手あまたの方ですからたいへん時間がかかりました。上原さんのコンサートは実に5年越しの交渉の末実現したものです。文化会館25周年の節目に間に合ってよかったです。
 ということで、地方での公演とは思えないベートーヴェンとプロコフィエフの大曲が並ぶ、顔見世興行でない重厚なリサイタルが実現しました。今後大館でこれらの曲が演奏される機会があるかどうかわかりません。その意味でも空前絶後のコンサートになることでしょう。7月7日一般発売開始です、お見逃しなく。 (陽)