業界用語の話 (2007/04/06掲載)

トランポ、ゲネプロ、バミリ…、どの業界でもあることですが、舞台やコンサート業界にも独特の専門用語がいろいろあります。文化会館に異動してきた当初は結構とまどいましたが、慣れというものはおそろしいもので、今ではそんなことばを得々として使っている自分に気がついて恥ずかしい思いをすることもあります。ちなみに、トランポはトランスポーテイションの省略で、コンサート機材を運ぶトラックのことです。11トン車が十数台樹海ドームの駐車場に並んだSMAPのトランポは圧巻でした。文化会館でもアルフィーのトランポが8台並んだことがあります。ゲネプロはドイツ語のゲネラル・プローべの略で総仕上げの通し稽古のこと、バミリはステージの立ち位置などを示すための目印です。
舞台で使う金づちは「なぐり」と言います。ちょっと乱暴なことばですが、時間に追われる舞台づくりではピッタリですね。舞台の幕をバトンに結んでいるひもは「乳紐(ちちひも)」。ひもを通す丸い輪っかをその形から乳(ち)と呼んだことから来ているそうですが…。その他、舞台の幕だけでも、どん帳にホリゾント幕、大黒幕、紗幕、定式幕、袖幕、中割幕、引割幕などなど、機会があったら図入りで説明していきたいと思います。
いずれにしろこの桜町通信では、専門用語は必要最小限にとどめていきたいものです。と言いながらナンですが、皆さんにぜひ覚えてほしい専門用語があります。
まず「上手(かみて)」と「下手(しもて)」。半分常識のような気もしますが、一応確認しておきましょう。客席から舞台を見て右側が上手、左が下手です。落語では顔の向きによって人物を演じ分けますが、立場が上の人は上手から下手に向かって話し、下の人は下手から上手に向かって話します。なぜこれを知ってほしいかというと、忘れ物をした時に電話で説明するときに便利だからです。「前から十列目くらいの真ん中から少し上手のところ」とか言ってもらえると探しやすいので。左右で言うと意外に混乱することが多いのです。
もうひとつは「ホワイエ」。元はフランス語(foyer)で、ロビーと同じような意味です。文化会館にはホールに入る前の空間が大きく分けて2種類あります。外から入った広いところをエントランス・ロビーといいます。50インチのモニターやCDライブラリーがあるところです。そして、コンサートなどで受付を通ってホールに入るまでの空間をホワイエと言っています。こちらもやはり探し物をする時など、区別してくれるとありがたいのです。こちらの都合ばかりのような気がしてきましたが、ひとつよろしくお願いします。

4月1日から大館市民文化会館友の会の19年度会員を募集中です。年会費千円ですが、自主事業の先行予約や会員割引などの特典があります。どうぞふるってお申し込みください。なお、今年度の年間観賞券を楽しみにしている皆さんも多いことでしょうが、こちらは今しばらくお待ちください。目玉公演が最終決定していませんので、これが決まり次第ご案内します。ということで、今年度もよろしくお願いします。 (陽)