大館のお客さんの質は低い?高い? (2007/02/16掲載)

当館のクラシック系コンサートのアンケートで必ずといっていいほど書かれるのが、「大館のお客さんは質が悪い」というもの。今回はこれを検証してみます。
アンケートで槍玉に挙げられるのは、@演奏中にもかかわらず遅れて入ってくる人がいる、A演奏中の私語が耳障り、B拍手するところじゃないのに拍手する人がいる、がベスト3(ワースト3?)です。

@についてはやはり良くないですね。せっかくの気分を断ち切られてしまいます。自主事業の場合は主催者である文化会館にも責任があります。が、少し言い訳させてください。遅れてきたお客さんの入場時期については、開演前に出演者と打合せをします。いつでもいいですよという方もたまにいますが(声楽家に多い気がします)、ふつうはこの曲が終わったところで、ということになります。その場合もドアの外で待ってもらうか、ドアを入ったところ(ドア前)で待ってもらうかに分かれます。で、どちらもなかなか難しいんです。アーティスト自身がここで時間を取るって言ってたのにすぐ次の曲を始めてしまったり(プロでもあがり性の人けっこう多いんです)、お客さんがなかなか自分の席にたどり着けなかったり(すぐそこの席だって言ったのにどうしてあんな遠くに行っちゃうの)、ドア前で待つはずが入ったとたん自分の席まで全力疾走されたり(何度も説明してあなたもうなずいていたじゃない)。ひとつでもそんなことがあれば主催者のミスですから、今後は最後部に遅れてきた人専用の予備席を用意しようかとも思ったりしています。それでも、遅れる人は仕事が終わってすぐに息せき切って駆けつけた人が多いので、周りの人から冷たい目で見られなければいいけど、と思ったりします。甘いでしょうか。

AとB、これはずいぶん減りました。とくにBは、会館自主事業に関する限りほぼ完璧です。クラシックメインのアトリオンや盛岡市民文化ホールと比べても、正直東北では他に類を見ないレベルだと思います。「東京ではこんなことはない」というアンケートもありましたが、残念でした。近年企画コンサートが増えてきたせいでしょうか、東京でもけっこうそんなことのあるコンサートがあるのです。
大館市民文化会館で時ならぬ拍手がほとんどない理由。それには入場時にお渡ししているA 4サイズ1枚の「初心者のためのクラシック鑑賞マナー入門」が一役買っているようです。クラシックのコンサートが初めての人でも恥かしい思いをしないようにと考えてつくった当館のオリジナル。お客さんに失礼かとも思って恐る恐る試してみたのですが、一読しておけば安心してコンサートを楽しめるとおかげさまでたいへん好評をいただいています。

こうして考えてくると、お客さんの質が高いとか低いとか、設問自体があまり意味を持たないような気がしてきました。クラシックでもポピュラーでも、演劇やその他の演し物でも、気軽に安心して入場し鑑賞できる環境づくりが大事なのではないでしょうか。あとは、それぞれのお客さんが生の舞台の素晴しさを自分なりに楽しんでもらえればいいのだと思います。
平成19年度の自主事業は、日本人唯一のチャイコフスキーコンクール(ピアノ部門)優勝者などを予定しています。ラインナップの発表はもう少し先になりますが、どうぞお楽しみに。 (陽)