自主事業はむずかしい (2007/01/19掲載)

ここ何年か年明けにも何本かの自主事業を開催してきた大館市民文化会館ですが、今年度は12月17日の「ピアノマラソン」で概ね終了、1〜3月は会館事業(公演)のない年度になりそうです。
文化会館に転じて6年になりますが、自主事業はむずかしい、と近頃つくづく思います。当館のTUBEはおかげさまで即日完売しましたが、それよりアーティストパワーが大きいと思われた県南某会館での女性Jポップ歌手の公演は結局完売しなかったようですし、かと思えば当館としてはけっこう自信のあったクラシックのリサイタルが読みの半分くらいしかチケットが出なかったり…。とにかく、全国的な傾向としてジャンルに関わらずコンサートの入りが悪くなっています。ま、当然ながら入るのは入るんですが、誰が考えても入るようなアーティストはそうそう来てくれるものでもないし。急激な時代の変化で、コンサート業界も大きな変革の時期を迎えているようです。そんなわけで、19年度の自主事業がなかなか絞りきれていないのです。うーん、むずかしい。

気分を変えて、この数年の会館自主事業をよその会館と比べてみることにします。
昨17年度の大館市民文化会館は、29事業39公演という北東北ではダントツに多い自主事業を開催しました。この職員数でよくやれたと思いますが、それはともかくその中身、というか数字です。10万円単位で以下は切り捨てますが、総事業費が1960万円でチケット等の収入が1360万円ですから、差額というか持ち出し額は600万円になります。入場者総数が1万5518人なので入場者一人当たりの持ち出し額は387円です。600万円も持ち出しがあるのか、と思われるかもしれませんが、まあ最後までお読みください。さかのぼって16年度は21事業の入場者数9347人、持ち出しが430万円で一人当たり467円、15年度は同じく25事業、1万3514人、280万円、211円です。

これをよそのホールと比べてみます(館名は一応匿名にします)。16年度の実績ですが、県南の雄Y文化会館は6事業で持ち出しが1330万円、入場者3239人で一人当たり持ち出しは約4100円でした。県都のA県民会館は同じく1事業、220万円、551人、4100円、A市文化会館が1事業、540万円、845人、6400円です。同じ年度で比べると当館はA市文化会館より110万円少ない持ち出しで21倍の事業を行ったことになります。

秋田市とは貸館公演の絶対量がまるで違うので大館でコンサートが少ないという市民の声も分からなくはないのですが(大館と同規模の都市でコンサートがまるきりないところも相当数あることはさておき)、当館がより多い鑑賞機会と参加機会の提供をより少ない経費で実現するよう努めていることがご理解いただけるでしょうか。

得々と自館の成果を書いて、と鼻白んだ読者の方もいるでしょうが、別に他意はありません。ホールの自主事業はなかなか難しいものであると分かっていただきたかったのです。それに、私たちは現在が到達点だと思っているわけではありません。お隣の小坂町康楽館を始め、全国には成果において、また努力の質について私たちが到底敵わないホールがいくつもあります。当館なりにさらに上を目指して、より良質な公演、意義のある事業開催に努力します。何より、公演後の「良かったよ」の声や笑顔が私たちの栄養です。どうか今年もより多くの方にご来場いただきますように。 (陽)