『あなたの宝物は?』 (2006/04/07掲載)

村上春樹が、昨年出版した音楽エッセイ「意味がなければスイングはない」の中で、正確な言い回しは忘れましたが、「音楽を聴くということは、自分(だけ)の心の宝物を見つけることだ」という意味のことを書いています。

何年経っても感動が色あせない公演が提供できたら、会館職員冥利につきると思います。文化会館に勤務して丸5年、その間来場していただいた皆さまにとって宝物になった公演はあったでしょうか。佐藤久成、布谷史人、五嶋みどり、アルフィー、吉田兄弟、ドリカム等々、会館職員として思い入れの強い公演もいろいろありました。文化会館にお立ち寄りの際は、ぜひ皆さまひとりひとりの宝物を、もしあったらぜひ教えてください。

●驚きのあるコンサート
数日前、車に乗ってFMをつけたら弦楽器の音が流れてきました。チェロか、もしかするとヴィオラかな、と思いながら聴いていましたが、演奏が終わると「ただいまの演奏は、コントラバス、ゲイリー・カー」。思わず「すっ、すげぇー!」と叫んでいました。本当に驚きました。超人的な演奏を予備知識なく聴く経験はそうあるものではないので、このビックリ感はとても新鮮でした。
このような経験が文化会館の自主事業でもできないものかと思いましたが、現状ではそれは無理ですね。演奏家の良さをあれやこれやと情報発信しなければお客様は入ってくれないわけですから。でももし、何も知らずにグランディーババレエ団や今年の自主事業に出演する天満敦子さんを観たり聴いたりしたら、きっととてもビックリして、そしてものすごく感動するに違いありません。そんな夢のようなことも忘れずに考えていきたいと思っています。
もっとも、コンサートのアンケートを読むと、「何も知らずに聴きましたがすばらしくて感動しました」という感想が意外に多かったりするので、すでにお客様は無用な先入観を排して聴いているのかもしれません。

●友の会会員募集中です
昨年の文化会館友の会の会員数は、おかげさまで3百30名に達しました。大館の人口ではまあまあの会員数といえます。実は、もっと会員が増えれば、会員の夢をかなえるいろいろ面白いことができるのではないかと思っているのです。というわけで、新年度の会員募集中。年会費1千円です、どうぞよろしく。 (陽)