渡海千津子と「トスカ」、いよいよです! (2012/09/22掲載)


■「渡海千津子ソプラノリサイタル」まもなく

 大館から国道7号線を北秋田市方面に向かうと、川口交差点を越えたところで山田川という小さな川を渡ります。大館の人には吉田産業の手前といった方が分かりやすいでしょうか。とにかく車だと気にもとまらないその川の岸辺の風景に、渡海さんがなぜか毎回反応します。「ここ、ここ、いい感じですよね」。こちらはそのたびに「へっ?」と間抜けな返答しかできません。だって、雑草が生い茂ったただの小川ですよ?

 他にもいろいろな所で渡海さんはこの地の風景を称揚してくれます。まあ、たしかに相模原よりは自然が豊かでしょうが。ちなみに杉の林が多い秋田は、イタリアのトスカーナに感じが似ているそうです。そんなこんなで、渡海さんはとにかく発言が前向きというかポジティブ。元気をもらえるってこういうことを言うんだと思います。

 リサイタルで一緒に歌う市民合唱団との練習は、19日の5回目で最後。斉藤先生と渡海さんの指導はいつもながら息がぴったりで、傍から見ていても気持ちがいいです。仕上がりは二期会合唱団みたいにはいかないかもしれませんが、お気に入りの渡海さんと歌うのだから気持ちの入れ様では負けません。もっとも、力んだらいけませんが。

 リサイタルの曲目は前半が歌曲、後半がオペラという構成です。注目していただきたいのは、6月のみなとみらいでも歌った、マルトゥッチの歌曲集「追憶の歌」からの数曲。日本ではほとんど歌う人のない曲集ですが、なんといったらいいか、滋味のあるとでもいいましょうか、聴き込む程に心に沁みてくるような曲です。

 斉藤先生に第九の合唱指揮をお願いすることになって始まったお二人とのご縁も、2回目のリサイタルを迎えることになりました。これを3回4回と続けていくためには2回目が大事。今回の必達目標は「みなとみらい小ホールの定員を超える」です。リーズナブルにも程がある500円のチケットは、当日も同じ料金です。でも、前売りで売り切れたら当日券はありませんよ(多分大丈夫ですが)。

 とにかく、気持ち良いコンサートを聴きたければ、9月29日(土)午後2時半開演の「渡海千津子ソプラノリサイタル」へどうぞ。


■オペラ「トスカ」もうすぐ

 文化会館の今年度最大の目玉です。オーストリア・バーデン市劇場によるプッチーニの名作オペラ「トスカ」。

 何度も書いていますが、最後のお知らせです。

 オペラは決して難しくありません。歌舞伎は分からないからと敬遠していた人が一度観てからやみつきになることがありますが、オペラも同じです。おもしろいんです。歌舞伎にはない日本語字幕もあります。それに何と言っても「トスカ」は名曲の宝庫。どこかで聴いたことのある旋律がきっとあります。

 今回のオペラの料金は高くありません。また引き合いに出して恐縮ですが、歌舞伎より安いくらいです。キャストだけでなく、オーケストラや合唱団から衣装・大道具までオーストリアから運ぶことを考えれば、驚きの安さといっていいでしょう。今回は、優れた芸術を広く鑑賞していただくため、財団法人地域創造の助成をいただいています。

 文化会館としても30年の歴史の中で初めてのオペラの一般向け公演です。大館でオペラ鑑賞を根付かせるために何度もチャレンジする余裕はさすがにありません。次回がいつになるか分かりませんが、一度オペラを観ておきたいとお思いなら、今回を措いてないといっていいでしょう。

 チケットはSS席1万円からC席2千円まで、2千円刻みで5段階あります。ちなみにC席は21日現在、いとく大館ショッピングセンターに1枚だけ残っています。

 オペラ「トスカ」は10月3日(水)午後6時30分開演です。296年の歴史を誇るオーストリアの名門バーデン市劇場の大館公演に、ぜひどうぞ。(陽)