噺も歌も人の魅力、だよね (2012/06/15掲載)


■落語の魅力は演者の魅力

 今まであまり落語に興味が無かった人達に「落語のおもしろさ」を伝えるのはなかなかに難しいことで。とはいえ、いち落語ファンとして、もっとたくさんの人にわかってほしいと思う気持ちは捨てきれず、ことあるごとに「落語ってイイよ!」なんて説得力のない言葉で恥ずかしげもなく勧めたりしている私ですが、まぁそれはさておき。

 そもそもちょっと勘違いされている気がするので敢えて言うと、落語の魅力の9割以上は「演者のおもしろさ」なんです。もちろん「作品(ネタ)」の良し悪しや完成度もひとつの要素ではあるのですが、同じ噺でもおもしろい落語家が演ればおもしろいし、その逆もまた然りなわけで。落語評論家でありハードロック誌「BURRN!」の編集長でもある広瀬和生氏が「観客は、演者を観に行くのであって、演目を聴きに行くのではない」と書いていますが、本当にそのとおりだと思います。要するに、これから落語を聴いてみようと思っている人には「まずは寄席の雰囲気を」とか「ネタが何か」とかそんなことを気にせず、とにかく「今、おもしろい落語家」を聴いてほしいんですね。残念ながらすべての落語家がおもしろいかと言われたら、そうでないのが現実。だからこそ、最初の落語体験は素晴らしいものであってほしいと願うばかりで…と結局何が言いたいのかというと、当館で開催しているおおだて特選落語会は、我々が間違いないと確信した企画を、落語初心者・入門者が聴いてもまず間違いなく「おもしろかった」と思える人選でお送りしていますよということ。それくらいの自負を持って開催していますから、決して損はさせないと思いますよ…ってなわけであまりに手前味噌になってしまうのでこれくらいにしておきますが。

 ということで、ここからが本題というか宣伝です。7月14日(土)18時30分開演で「おおだて特選落語会18〜橘家文左衛門・柳家喬太郎二人会〜」を開催します。今回は当会初登場の橘家文左衛門(たちばなや・ぶんざえもん)さんと、すでにお馴染み柳家喬太郎(やなぎや・きょうたろう)さん両師匠をお迎えしての開催です。初登場となる文左衛門さんは「呑む・打つ・買う・気に食わない奴は殴っちゃう」の四大道楽煩悩を地で行く兄貴という「強面の豪快キャラ」で売ってはいますが、爆笑落語で寄席を盛り上げ、大ネタで感動させ、ときには前座噺でトリも取れる実力派と近年めっきり評価が高い落語家さんです。名前からして8代目橘家円蔵(月の家圓鏡)門下と思われがちですが、橘家文蔵の弟子で林家彦六(8代目正蔵)の孫弟子にあたります。対してもう説明の必要がないくらいお馴染みの喬太郎さん。今回も大変多忙なスケジュールを縫ってご登場いただくこととなりました。今や「チケットのとれない落語家」のひとりとして定着している喬太郎さんが、今でも大館に来てくれるのは本当に嬉しいことですね。どんな高座を披露してくれるのかとても楽しみです。そんな二人会ですから、落語ファンのみならず、ちょっと落語を聴いてみようかなと思ったお客様にも満足していただけること請け合いです。ぜひ皆様お誘いあわせの上お運びの程ご案内申し上げます。チケットは全席自由席で好評発売中。お求めお問合せは大館市民文化会館まで。(山)


■渡海千津子とオペラ「トスカ」発売のお知らせ

 「歌の年」といえば通例シューマンが名歌曲を続々と作曲した1840年のことですが、大館市民文化会館の2012年も後世「歌の年」と言われることでしょう。誰が言うのかっていうと自分たちが言うのですが。というわけでお待たせしました、7月7日(土)歌もの2公演のチケットを揃って発売開始します。

 ひとつはもうおなじみといっていいでしょう、「渡海千津子ソプラノリサイタル」。息のぴったり合った斎藤育雄さんのピアノと渡海さんの歌が、至福のひとときをお約束します。市民合唱団とのオペラ合唱曲の共演もあります。料金は破格の1コイン、一律500円。9月29日(土)午後2時半開演です。

 もうひとつは、文化会館初となる外来オペラ劇場の公演です。ウィーン近郊の保養都市バーデンからバーデン市劇場が、プッチーニの名作「トスカ」を引っさげて来日します。全席指定で料金はSS席1万円からC席2千円まで、2千円刻みで5段階用意しました。こちらは10月3日(水)午後6時半開演です。

 詳しい説明は改めて。とにかく7月7日発売です。観なきゃ損ですよ。あ、明日から渡海さんと歌う市民合唱団を募集します。済みません、女声のみです。(陽)