祈りの歌を桜に乗せて… (2012/05/04掲載)


■ジュニアコーラス初の県外遠征

 仙台フィルの伴奏にのせ千人を超える大合唱団が、全国からの支援に感謝し東北復興への誓いを歌い上げる。4月30日に仙台市の東北大学川内萩ホールで開催された「東北復興大合唱祭」というイベントです。東北6県から集まった合唱団は児童合唱から一般まで73団体、大館からはコールOMGと大館ジュニアコーラスが参加しました。現地に着いて確認すると、児童合唱団は大館だけでした。創立8年目、県外で歌うのはこれが初めてです。

 オーケストラと千人の合唱団がステージに載るのは無理なので、4グループに分かれての演奏、そして2グループずつの合同演奏で大合唱祭は進みました。ジュニアの出番は最後の第4グループ。曲は「唱歌の四季」というから簡単かと思いきや、作曲は三善晃、イコール結構難しいんです。それでもジュニアの面々、がんばって戦力になっていたと思います。指揮の山下一史さんもさすがカラヤンの弟子、短いリハーサルでみるみる芸術的に仕上げる手際を見られただけでも十分満足なくらいでした。一流の指揮者ってすごいです、やっぱり。

 3・4グループ合同の全体合唱は「上を向いて歩こう」、そして最後は「大地讃頌」を全日本合唱連盟理事長浅井敬壱の指揮で。うまいなぁ、と思ったのは会場の全員に立って一緒に歌おうと煽ったことで、合唱には不案内な私もなぜか立って歌っていました。合唱界では有名らしいこの曲を私はよく知らないのですが、どういう訳か楽譜がなくても歌えましたね。作曲の佐藤眞がえらい!曲が終わると必然的に総立ちのスタンディングオベーションなわけで、うまいっ、としか言いようがありません。

 多くの観客が、そして出演者も涙を浮かべていたのは、前半の合同合唱の「ふるさと」でもそうですが、曲のメッセージがひとりひとりの心に沁み入ったからでしょう。ふるさとに「いつの日にか帰らん」という意志が、そして「母なる大地の懐に我ら人の子の喜びはある/平和な大地を、静かな大地を」という怒りや祈りがひしひしと感じられる時間でした。

 出演した団体、中でも高校生たちが、多く被災地を訪問して慰問演奏をしていると聞きました。歌には悲しみや淋しさを慰める力があります。まだまだ続く被災地の苦しみを歌の力が少しでも癒してくれることを願い、私たちもそれぞれの立場で自分にできることを考え行動していこうと思います。

 大館ジュニアコーラスの初めての遠征は本当に良い経験になりました。大人の中に子どもたちが入ると場がとても明るく和やかになります。それだけでもジュニアの参加は意義があったと言えるでしょうが、各県の中高生ののびやかな歌声を聴き、大合唱の感動を分かち合えたことは、この子らの将来にきっと大きな財産となることでしょう。ということで、新年度にあたり大館ジュニアコーラスでは歌の好きな小中高生の団員を募集中です。お問合せは文化会館(49‐7066)まで。


■マリア・フォシュストロームまであと18日

 高校生以下無料なのにどうして招待チケットが捌けないのだろうと思っていたら、5月22日(水)は修学旅行や校外学習という学校が多いんですね。うまくいかないものです。

 共催の文化会館として気になるのは、今回のツアーが行われる尾道や名古屋の入りです。あんまり差をつけられたくないなぁ。尾道は数年前にもリサイタルをやったし名古屋では名フィルと協演しているから、アドバンテージは向こうにあるんですが。

 そしてなにより苦にしているのは、実行委員会を主宰する作山さんの思いを形にできないかもしれないことです。自らが感動したマリアさんの歌を県北の人たちにぜひ聴いてもらいたいという思い、無料で子どもたちに聴いてもらいたいという熱意、身体の不自由な作山さんが私費を投じて開催する心意気、それらを無にしないための有効打がなかなか出ない。ああ、主催よりも焦る!皆さん、どうぞ聴きに来てください。 (陽)