『合唱の楽しさを語ろう』 (2006/03/03掲載)

鑑賞することと実演することのどちらがより感動的な体験を持つことができるかというと、やはり実演だと思います。自分の経験からいっても、バーンスタインやバレンボイムなどが指揮するオーケストラに感動し、吹奏楽では花輪高校のバッハに心震えたことなどよりも、末席で参加した「大いなる秋田」の初演の方がずっと大きな感動をもたらしてくれました。スポーツでも、オリンピック観戦による感動と強歩大会で完歩した時の達成感では、時を経て残るものは後者のほうが大きいような気がします。

比較する対象が違いすぎるようでもあり、感動の質も違うのかもしれませんが、少なくとも自分の身体を使ってする表現活動は、強く長く自分の中に残るものであると言えます。だからこそ多くの人が、次から次へと種々雑多な表現活動に取り組むのでしょう。

歌うことは誰でも簡単に始められる表現活動ですが、合唱はそういう訳にもいかないようです。カラオケがこれだけ定着しているのに、合唱団体は数も減り、残った団体もメンバー確保に苦慮している状態です。そういう時ですが、あるいはそういう時だからこそ、合唱の楽しみを見直し、広くアピールしたいと思うのです。

大館市民文化会館では、十七年度文化庁の助成を得て「文化芸術による創造のまち」支援事業に取り組んでいます。昨年五月には大館ジュニアコーラスを立ち上げ、校区を越えて市内全域からメンバーが集まり練習を積んでいます。音楽療法やゴスペルなどを見聞きしても、歌、特に合唱は聴く人も含めて心の通じ合いをもたらします。そういった合唱の可能性を広く知ってもらうため、シンポジウムを開催します。

シンポジウムは、明日4日午後2時から大館市民文化会館中ホールで行います。基調講演には、声楽家であり著名な合唱指揮者である友清和親氏を迎え、パネルディスカッションでは、県内外の合唱活動のリーダーに「合唱の今、そしてこれから」というテーマで話し合っていただきます。主催は大館市「文化芸術による創造のまち」支援事業実行委員会。入場は無料。関係者のみならず、文化芸術に関心のある市民の皆さまの入場をお待ちしております。 (陽)