今年もありますオーケストラ (2011/06/17掲載)


■オーケストラのランキング

 アメリカのオーケストラは、ビッグファイブとかエリートイレブンなど、それなりに権威のあるランキングに基づく序列が以前はありました。ランキングって無責任に眺める分には楽しいですよね。

 日本のプロオーケストラは室内オケを含め40団体くらいあります。これをある程度の信頼性をもってランク付けする試みはあったのでしょうか。よく分かりませんが、狭い音楽業界でわざわざ敵をつくるような試みはなかっただろうと思います。ネット上ではその手のスレッドもありますが、誰の意見にも納得しにくいんですね、これが。

 ヤフーのQ&Aで「日本のオーケストラのベスト3は」という質問に、ベストアンサーに選ばれたのは、

1.読売日本交響楽団
2.東京都交響楽団
3.サイトウキネンオーケストラ、NHK交響楽団

というものでした。一般的にはN響がトップに来るのでしょうが、それはそれとして、話の流れからお誂え向きな答えではありませんか。この回答者によると読売日本交響楽団(以下読響)はいま「管・弦ともにハイレベル」にあるそうです。そうかそうか。


■私の好きな読響

 全く個人的な好みなのですが、好きな日本のオーケストラは都響と読響です。本当です。昔々の学生時代、この2つのオケの定期会員でした。B席でしたが。都響は渡辺暁雄さんが常任指揮者に就任した頃、読響は売り出し中のメータなど海外からの豪華な客演が売りでした。今でも読響は女性奏者の少ないオケですが、当時は女性がひとりもいませんでした。

 時代は下り、今の文化会館の仕事に就いてから、読響の団員2人を知る機会がありました。たまたま2人ともチェロ奏者です。

 ひとりはふれあいトリオの渡部玄一さん。吉田恭子さんのヴァイオリンと白石光隆さんのピアノを、低音域でしっかり支えていました。もうひとりはもっと大物で、ソロチェリストで桐朋音大教授でもある毛利伯郎さん。佐藤久成さんとトリオを組んで来館しました。当然ながらものすごく上手。しかも安いギャラを(多分)厭うことなく、偉ぶることもなく見事なハーモニーを聴かせてくれました。元々チェロが大好きですが、この2人のおかげでチェロと読響がもっと好きになりました。

 そんな読響を大館の皆さんにも聴いてもらいたいと、結構長いこと望んでいたのですが、それがこの度実現することになりました。この仕事をしていて、「願えば夢は叶うもの」という体験をいくつもしていますが、またひとつ叶ったわけです。


■読響がやってくる

 というわけで、読響の大館公演を開催します。9月25日(日)の午後6時30分開演です。

 指揮は梅田俊明さん。仙台フィルの能力をグンと引き上げたことで知られる若手の実力者です。近頃では「のだめカンタービレ」の指揮指導と演奏に関わったと言った方が伝わりやすいでしょうか。

 ソリストにはヴァイオリンの宮本笑里(えみり)さんを迎えます。デビューの頃はもっぱらオーボエの宮本文昭の娘という紹介のされ方をしていましたが、今や立派に一本立ち。本業以外でも、数々のCM出演の他、日本テレビ系の「NEWS ZERO」のキャスター等々、華々しい活躍をしています。今回は「愛のあいさつ」や「ツィゴイネルワイゼン」など、おなじみのヴァイオリンの名曲を弾いていただきます。

 プログラムは他に、メンデルスゾーン「フィンガルの洞窟」とブラームス「交響曲第1番」。どちらもドイツロマン派を代表する名曲です。ブラームスについては改めて書きたいと思っています。

 公演は財団法人JKA(旧日本自転車振興会)の助成を受けて開催され、通常の半額程の料金で鑑賞していただけます。前売料金は一般S席4000円、A席3000円、B席2000円(小〜大学生は半額)です。いよいよ7月3日(日)9時発売開始。どうぞお見逃しなく。 (陽)