古い奴だとお思いでしょうが… (2010/11/19掲載)

■落語が好き

 「落語が好き」と言うと、「渋いねぇ」とか「若いのに珍しい」とか言われることがよくあります。大体その言葉の裏側には、落語が「古臭いもの」「年寄りの楽しみ」という意図が見え隠れしてしまうので、ついつい私も苦笑いで「はぁ」なんて気の無い返事をしたり。そうすると決まって「落語って何が面白いの?」と言われて返答に困ったりするわけです。

 そもそも落語って何が面白いの?これを議論し始めると「面白いとは何ぞや」みたいな話になってしまうので、ここではやめておきますが、やっぱりいまだに落語をゲラゲラ笑って見る「お笑い」と認識している場合が多いように思うのです。確かに落語にお笑いの要素は不可欠ですが、古典落語を聴いて、全編爆笑してるってことはほぼありません。そこにちょっとした誤解が生じているのではないかと…つまり、落語は笑える芸なんだと思っていたら、そんなに笑えなかった。すなわちそんなに面白くない、って構造なのかなと。まぁ、私が勝手に思っているだけなんですが。

 個人的には落語を聴いていると、いろんなことがどうでもよくなってくるんですね。ちょっとした悩みだったり、迷いだったりってものが。本当はどうでもよくなっちゃいけないのかもしれませんが、なんとなく流行の言葉でいうところの「癒される」感が好きだったりするのです。もちろん笑えて楽しいってのもありますが。立川談志師匠は「落語は逃げちゃった奴等が主人公なんだよ。人間、寝ちゃいけない状況でも、眠きゃ寝る。酒を飲んぢゃいけないと分かっていても、ついつい飲んじゃう。昼間から寄席で油売ってる奴なんて禄なもんぢゃない。でもな、努力して皆偉くなるなら誰も苦労なんかしない。努力しても偉くなれないから寄席に来ているんだ」と言っていましたが、もしかしたら、私も逃げちゃった奴のひとりとして、落語にシンパシーを覚えるのかなぁなんて思ったり。まぁ、とりとめもなく書いてしまいましたが、そんな落語っていう芸をこれからも観続け、ちょっぴり笑って、ちょっぴり感動して、そして癒されていたいと思う今日この頃なのです。

 さて、前置きがあまりにも長くなってしまいましたが、いよいよ明日に迫ったおおだて特選落語会。結局宣伝かよと思うかもしれませんが、そのとおり。いい演し物をお客様に観てもらうのが我々の仕事なので、頑張って宣伝させていただきます。ということで、今回のおおだて特選落語会は当会初お目見えの柳亭市馬(りゅうてい・いちば)、柳家三三(やなぎや・さんざ)の両真打を迎えます。当会にしては珍しく二人とも古典派ということで、古典落語好きなら絶対に見逃して欲しくない組合せです。前回も書きましたが、本当に今観ておいたほうがいいですよ。このお二人の魅力といったらもう…というところで字数が足りません。あとは皆さんの目で実際に確かめてみてください。チケット、まだあります。大人2000円、高校生以下500円(当日各500円増)で、大館市民文化会館はじめ各プレイガイドにて好評発売中。お誘いあわせの上、お運びの程お待ちしております。(山)


■57年目の「ローマの休日」

 1953年といえばまだまだ映画が娯楽の王者でした。この年の代表作は、小津安二郎の「東京物語」、フランスでは「禁じられた遊び」、ハリウッドでは「地上より永遠に」「シェーン」「ライムライト」そして「ローマの休日」。圧巻ですね。

 12月4日(土)、当館でデジタル・ニューマスター版による「ローマの休日」が上映されます。廉価で発売されているDVDとはかけ離れた画質で若き日のオードリーをご覧いただけます。午後2時半からと6時半からの2回上映です。

 前売料金は一律800円。当館といとく大館ショッピングセンターで11月20日から販売します。当日は999円ですので、ぜひお早めに。(陽)