コンクール2題 (2010/09/17掲載)

■布谷史人、きょう本番

 ロシア人というと、エリツィン元大統領のように体がでかくて顔がウォトカ焼けして声が大きいか、あるいはプーチン首相のように身体は締まっているけれど目つきの鋭すぎる人をイメージしてしまいませんか。音楽家でいうと、ムラヴィンスキーとかリヒテルとか、おっかなそうだったし。

 本日布谷史人と共演するロシア人アンドレイ・ドイニコフさんの第一印象は、私のロシア人への固定観念を覆すものでした。シャイな表情に優しげな言葉づかい、身体もそんなに大きくないし…。失礼ながら、初期のウルトラマンでたまに出てきた哀しそうな表情としぐさの怪獣を見た時のような、落ち着かない気持ちになってしまいました。布谷さんとアンドレイさんはけっこう雰囲気が似ていて、人を押しのけても前に出るというような我の強さのない点が二人を結びつけていると感じました。

 とはいうものの、自分を強く持っていなければ演奏家としてやっていけるものではありません。昨年10月のリベルタンゴ国際音楽コンクール、募集要項にマリンバ演奏というのはなかったのですが、強引に頼み込んで出場させてもらったのだそうです。それで優勝してしまうのだから、布谷史人、けっこう我が強いのかも。

 ま、そんなわけで今回は堂々の凱旋公演。普段はおとなしい二人が、丁々発止の演奏を繰り広げてくれることでしょう。楽しみです。で、ちょっと心配なのが大館(だけじゃないけど)のチケット購入傾向です。アーティストの成長を楽しみに毎回聴きに来るというよりは…。

 ということで皆さん、世界に羽ばたく大館生まれの布谷史人をぜひぜひ応援していきましょう。マリンバの音って、ほんと気持ちいいですよ。後半ではピアソラのタンゴもたっぷり聴けます。当日券あります。


■吹コンでOWEが得たもの

 吹奏楽関係者およびファンの方ならご存知でしょうが、全日本吹奏楽コンクールに3年連続出場すると次の年は1回休みになります。一般の部で今年は秋田吹奏楽団がお休みでした。秋田県の一般バンドは大曲吹奏楽団(略称キョクスイ)と秋田吹奏楽団(シュウスイ)の2強時代が長く続いています。県内の他の一般バンドにとっては、どちらかが休みの時に2枠の県代表に滑り込むのが、現実としては目標になっているのです。

 で、今年は大館ウインドアンサンブル(OWE)がついに悲願の東北大会出場を果たしたわけです。9月12日に福島県郡山市で開催された東北大会でOWEは、初出場ながら自分たちのできる最高の演奏をしました。いや、私は聴いていないんですが、信頼できる複数の出演者・関係者の証言によればそういうことです。結果は銅賞でしたが、納得の、そして胸を張れる銅賞と言えるでしょう。

 現在、コンクールの一般の部は出場人数が65人までです。東北大会に出てくるようなバンドはたいがい目一杯の人数で出場しますが、応援奏者を入れない方針のOWEは31人という少人数での出場でした。この人数だとどうしても数の足りないパートが生じるわけで、最高の演奏をしたとしても充分な演奏効果を得られない場面が、残念ながら出てきます。少人数で全国大会に出るようなバンドもあることはあるので、さあこれからOWEはどうするのか、楽しみです。

 何にしても、東北大会で高い壁を経験したこと、しかし全く勝負にならないという程の差ではなかったこと、そして自分たちのベストの演奏が本番でできたことが、OWEにとっては大きな財産になることでしょう。OWEのこれからを市民の皆さんにもぜひ注目し応援してもらいたいと思います。第11回定期演奏会は11月14日(日)13時30分開演。入場料600円で発売中です、どうぞよろしく。


 その他、9月30日のグランディーババレエ団、10月9日村上敏明テノールコンサート、10月25日ウィーン・フーゴ・ヴォルフデュオ、11月5〜7日の昭和名画座、11月13日の弘前大学吹奏楽団、そして11月20日のおおだて特選落語会が好評発売中。たくさんあって、どうもすいません。(陽)