人生は挑戦。たとえそれが「詩」でも (2010/07/016掲載)

■グスタフ3題

 ドイツ・オーストリアやスウェーデン系の名前グスタフ、あるいはグスターヴ。ウィキペディアによると「神の助け」という意味だそうで。

 @音楽畑でグスタフと言えば、まずはオーストリアの指揮者・作曲家グスタフ・マーラーでしょうか。彼の交響曲はとにかく編成が大きい。「千人の交響曲」と呼ばれる交響曲第8番では、大合唱を含み本当に千人近い人が演奏します。大館市民文化会館だったら聴衆の居場所がほとんど残りませんね。ちなみに、オーケストラの地方公演で「新世界より」とか「運命」とか定番の曲ばかりになるのは、有名曲でないとお客様が入らないせいでもありますが、2管編成の比較的少ない人数で演奏できる曲だからでもあるんです。これならオーケストラが舞台に収まりますから。

 A「木星」で知られるのはイギリスのグスタフ・ホルスト。この作曲家、あまり知られていませんが歌曲も多く、いかにも彼らしい愛すべき佳曲がいくつもあります。去る6月18日に横浜のみなとみらい小ホールで開催された我らが渡海千津子さんのソプラノリサイタルでは、このホルストとやはりイギリスのクィルターの歌曲がプログラムの始めに並べられて、後半のイタリアオペラのアリアと好対照をなしていました。ピアノを弾く斎藤育雄先生との仲睦まじさも相変わらずで、実に温かいリサイタルでした。良かったですよぉ。いつかまた大館でお二人のリサイタルを聴いてみたいものです。というか、きっと。

 B最後に19世紀末ウィーンの画家、グスタフ・クリムト。代表作「接吻」などの人物画に目を奪われがちですが、風景画も数多く描いています。今年、クリムトの風景画だけを載せた本が発売されました。「本」と言ったのは、それは詩集でもあるからで、長田弘(おさだひろし)の詩がふたつ収められているのです。タイトルも「詩ふたつ」。人物のいないクリムトの絵と、愛する人を失った詩人の挽歌2篇。それでいながらどちらにも何か温かいものが流れている。ことばと絵があいまって久々に感動する詩集/画集でした。この本を発行したクレヨンハウスに大きな拍手を。詩を愛でる心をたまには取り戻したいものです。ということで話は次の人にバトンタッチする予定なのですが…。(陽)


■あたらしいこと

 個人的な話になりますが、最近、色々と新しいことにチャレンジする機会に恵まれています。新しいバンドやらバス釣りやら芝居やらエトセトラエトセトラ…。音楽については以前からやっていたことなので少し語弊がありますが、バス釣りや芝居なんかは全くの「新しいこと」なわけで。30代半ばにして自分の経験の引き出しにひとかけらも無いことをやるということは、結構なエネルギーが必要だったりするわけですが、ほんの少しの勇気と労力によって得られる喜びは思っていた以上に大きいなぁと改めて実感しています。やってもやらなくても同じ時間は過ぎていきます。一回しかない人生ならやっぱりドンドン「新しいこと」にチャレンジしていきたいなと思っている今日この頃なわけであります。

 さてさて前回の桜町通信でも書きましたが、7月24日(土)に「詩のボクシング秋田大会」を開催します。現在参加者募集中なのですが、参加者が集まらずに苦労しています。昨年度に引き続き2度目の秋田大会ということで、昨年よりは反応があるに違いないと期待はしていましたが、予想以上に反応が薄くて、担当者としてはなかなかに寂しい思いをしている状況であります。参加無料で優勝すれば全国大会出場と東京往復の旅行券進呈という特典もあります。本番前にワークショップで指導しますので安心してご参加ください。

 ということで、話は強引にも前段につながります。文章を書くのが好きな方、思い切って声を出して読んでみませんか?演劇関係者の方々、自分の表現力を試してみませんか?音楽をやっている方、佐野元春のように歌詞のリーディングをしてみませんか?別に私の考え方を強要するつもりはありませんが、「新しいこと」から得られる喜びは絶対に保証しますから。少しの勇気と労力で「詩のボクシング」に参加してみませんか。熱烈に待ってます。(山)