『師走のコンサート点描』 (2005/12/16掲載)

十二月四日、秋田市アトリオンで行われた県青少年音楽コンクール十周年記念演奏会。多くの聴衆のお目当てはピアノの佐藤卓史さんのようで、盛大な拍手を浴びていました。今年のショパンコンクールでは惜しくも本選出場を逃しましたが、全身から音楽することの喜びを発散する佐藤さんはショパンコンクール向きではないのかもしれません。でもきっと素晴らしい音楽家になる人です。来年芸大を卒業したら留学する予定だとか。離日前にぜひ大館の皆さんにも彼の幸福な音楽を聴いていただきたいものだと思います。

前回の桜町通信でも紹介したピアノの山内秀介さんとクラリネットの米倉森さんも、グランプリに恥じない演奏を披露してくれました。そして特筆すべきはマリンバの布谷史人さん。秋田市ではほとんど初お目見えといっていい布谷さんは三曲を演奏しました。はじめの二曲で無類のテクニックを武器に聴衆をひきつけた後、最後の「赤とんぼ」が始まった瞬間、会場全体がはっと息を呑むのが分かりました。布谷さんは確実に感動を伝えられる音楽家になってきています。十二日の大館でのコンサートを終え、年内にはアメリカへ戻る布谷さん、来年はほとんど欧米での活動になる模様です。今後大館に戻ってくるときはどう変わっているのか、本当に楽しみです。

十二月十一日の藤原真理チェロリサイタルには、チェロというなじみの薄い楽器にもかかわらず三百人を超えるお客様に来場していただきました。私たち会館職員はコンサートが終わってドアから出てくるお客様の顔を見、気分を感じて満足度を知りますが、今回のお客様方の何と穏やかで幸せそうだったことか。会館職員冥利に尽きるコンサートがまたひとつできました。藤原さん、ピアノの倉戸テルさん、そしてご来場の皆さま、ありがとうございました。

クリスマスの二十五日開催の九回目のピアノマラソンは、これまでの記録を大幅に更新する百二組もの出演があります。大館ゴスペルクワイヤと大館ジュニアコーラスも特別参加、九時半開始で入場無料です。

そして明けて一月九日はいよいよ「東儀秀樹新春コンサート」。だいぶ少なくなってきましたが、チケットまだ間に合います。どうぞお早めに。

ということで今年の桜町通信は今回でおしまい。皆さまどうぞよいお年を。 (陽)