天からの手紙の季節に (2009/11/20掲載)

■佐藤久成と仲間たちの話

 11月11日の松田ヴァイオリンお披露目コンサート「佐藤久成と仲間たち」、おかげさまで無事終了しました。

 ひとつ残念なことに、当日昼に予定していた田代中学校での松田鉄雄さんの講演会が中止になってしまいました。理由はご想像のとおりで、インフルエンザ。松田さんの講演は私たち会館職員もとても楽しみにしていました。職人の世界の話、それもトップランナーの話は面白いに決まっていますから、いつかまた松田さんが里帰りした時にぜひリベンジをと思っています。

 ところで会館職員は自主事業で本番をじっくり聴くことはできません。その代わり、出演者からお話を伺ったり人柄に触れる機会があります。こういうのが役得と言えば役得といえるでしょうか。

 ピアノのアルバート・ロトさんは、一年の半分を日本で過ごしているので日本語がそれほど不自由なく話せます。実は奥様が日本人で、中谷宇吉郎博士の娘さんとのこと。おゝ「雪は天から送られた手紙」。それはともかく、NY生まれで早くから才能を見出されたロトさんは、錚々たる名人たちからピアノを学んでいます。なんとホロヴィッツからも。こうなるともう歴史ですね。ロトさんのピアノはロシアン・スクールの正統を受け継ぐもの。自分の求める音と音楽に妥協を許さない姿勢は勉強になりました。それにしても、相手が外国人とはいえ日本語を話しているのについついしどろもどろの英語で話そうとしてしまうこちらの回路は脳科学的にどうなっているんでしょうか。

 チェロの毛利伯郎さんは、読売日響のトップで桐朋学園大教授という肩書を持つ偉い方なのですが、穏やかで包容力のあるすばらしい方でした。読響のチェロといえばふれあいトリオの渡部玄一さんと同じ、中低音域の楽器の人はいい人、という私の思い込みは今回も守られました。オールド楽器で朗々と歌う毛利さんのチェロは、アンケートでも「ぜひまた聴きたい」という声が多数寄せられました。

 そして我らが佐藤久成。両ベテランに支えられ、あるいは競い合って生き生きと演奏していましたね。今回のコンサートは全曲松田ヴァイオリンで演奏しました。いい音だったでしょう?ちなみに普段久成さんはグァダニーニ(もちろんオールド)を弾いています。グァルネリ・デル・ジュスモデルの松田ヴァイオリンとは、胴部分の長さが数ミリ違うのでずいぶん勝手が違うはずですが、短い練習であれだけ弾きこなすのですから、さすがプロは違いますね。

 3人の個性が重なり合いぶつかり合うピアノトリオって、面白いですね。トリオの演奏のほかに各自のソロもあると、変化とお得感もあるし。今回はインフルエンザのため小中高生の姿がほとんどありませんでしたが、またいつか、たくさんの子どもたちに楽しく聴いてもらえる機会を作りたいものです。 (陽)


■参加申込は今日まで

 ピアノマラソン参加ご希望の皆さん、申込手続きはお済みですか?受付は今日までですよ。ということで、今日で一旦締切となりますが、まだ申込をしていない人もいると思います。ですが、ご安心ください。ピアノマラソンは来る(弾く)者を拒みません。締切を多少過ぎても受付けますので、とりあえずは担当までご相談ください。プログラムが完成するまでは、なんとか調整しますから。

 そんなピアノマラソンですが、当日はゲストとして『大館ジュニアコーラス』が出演します。クリスマスムードたっぷりの美しいハーモニーを響かせてくれますので、どうぞご期待ください。

 また、大館ジュニアコーラスでは、一緒に合唱を楽しんでくれる団員を随時募集しております。小・中・高校生であれば誰でも入団できますので、ぜひ仲間と一緒にハーモニーを奏でてみませんか?入団前の見学も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

 ということで、12月20日(日)のピアノマラソンは10時開演予定、入場無料です。小さい子どもからベテランまで、たくさんのピアニストが素敵な演奏を奏でてくれます。お見逃しなく。(工)