響け松田ヴァイオリン (2009/11/06掲載)

■楽しみなピアノトリオ

 ピアノ三重奏(トリオ)という室内楽のジャンルは、ピアノとヴァイオリンとチェロの3つの楽器から編成されます。弦楽四重奏や各種の二重奏(デュオ)などと違って、ピアノトリオはコンサートの数も限られます。大館ではこの10年間の当館自主事業でふれあいトリオ(吉田恭子他)とチェロ・アコースティックス(吉川よしひろ他)の2組だけ。鑑賞機会が少ないのは東京でもあまり変わりません。どうしてでしょうか。

 室内楽とは、1パートに1人ずつ2人以上で編成されたものを言いますが、デュオは別として弦楽四重奏が団体も曲も飛びぬけて多いです。それには理由があって、弦楽四重奏は同族の楽器で3和音のドミソドが演奏できる最少の単位、言葉を代えると弦楽四重奏は小さなオーケストラなのです。そのため、ソナタ形式が確立する古典派からロマン派の時代に数多くの名曲が書かれることになりました。ちなみにソナタ形式を完成させた「交響曲の父」ハイドンは「弦楽四重奏曲の父」とも呼ばれています。

 それに比べてピアノトリオという形式は、ピアノという毛色の違う楽器が入ることで華やかさとコントラストが増し、3つの楽器の融合とともにそれぞれの楽器の名人芸が楽しめるジャンルなのです。協奏曲的とでもいいましょうか。概ねリーダー主導の弦楽四重奏に対して、ピアノトリオは3人とも個性と実力を兼ね備えた時に魅力を発揮します。つまりピアノトリオはソリストが3人集まる必要があるわけで、演奏機会が少ないのもそのためなのです。

 ちょっとカタカナと漢字が多くなったかな。とにかく皆さん、ピアノトリオは耳が喜ぶ楽しいコンサートです。

 前回も書いたように、11日の松田ヴァイオリンお披露目コンサート『佐藤久成と仲間たち』出演の3人はいずれも一騎当千のつわもの揃い。チャイコフスキーの名曲『偉大な芸術家の想い出』は、大館で今後聴いていただく機会があるかどうか。料金も破格に設定しました。一般1000円、高校・大学生は500円、小中学生と障がい者手帳をお持ちの方(介助の方も)は無料です。当日料金も同額ですので、お近くにプレイガイドがない方もどうぞお出かけください。松田ヴァイオリンの響きがお待ちしています。 (陽)


■ピアノマラソンも17回目♪

 気が付けば今年のカレンダーもあと2枚。今年は十分な夏がなかった分、色彩豊かな紅葉を楽しんでいたところだったのに…雪が(悲)。これからどんどん寒くなっていくと思いますが、“心”と“懐”だけは寒くなりませんように。

 ということで、寒い季節の心温まるイベント『ピアノマラソン』を12月20日(日)に開催します。入場無料、開演時間は午前10時予定です。

 現在参加者を鋭意募集中。参加料は1ステージ500円で、持ち時間は10分以内、ピアノを弾ける方なら誰でも参加できます。ご希望の方は11月20日(金)までに文化会館へお気軽にお申し込みください。出る(弾く)人も、聴く人も、ピアノの発表会やコンクールとは一味も二味も違う、ピアノマラソン独特の世界をお楽しみいただけます。 (工)


■特選落語会あす発売開始

 5代目円楽さんが亡くなられました。永らく笑点の司会を務め、3代目志ん朝、5代目柳朝、7代目談志とともに落語四天王とよばれた大看板。個人的に大ファンだったわけではありませんが、また一人、落語界の顔が逝ってしまったことは残念でなりません。心よりご冥福をお祈りいたします。

 何だか湿っぽくなってしまいましたが、当館の落語といえば「おおだて特選落語会」。今年度二度目の落語会を、年明け1月23日(土)に開催することが決まりました。今回高座に上がるのは、初登場の立川談笑さんとお馴染み三遊亭白鳥さんのお二人。特に談笑さんについては、立川流から当会初登場ということで、非常に楽しみな高座になると思います。チケットは明日11月7日(土)より各プレイガイドにて発売です。お求めはお早めにどうぞ。 (山)