連載100回記念 文化会館スタッフ鼎談
『桜町通信の100回を語る』
 (2009/08/21掲載)

……平成17年7月22日に北鹿新聞紙上で始まった文化会館のコラム「桜町通信」が今回節目の100回を迎えました。この機会に、執筆している職員の鼎談で、桜町通信のこれまでとこれからを語り合いました。参加は50代の(陽)、30代の(工)と(山)の3名。フルネームは文化会館にお越しの際に名札でお確かめください。まずはスタート時を振り返るところから。

陽:この企画を思いついたのは連載開始のかなり前で、文化会館に異動した平成13年中には既に考えていました。ただ、連載をお願いするには十分な準備を重ねて、と思っているうちにズルズル時間がたってしまって…。17年の8月に金聖響指揮の東京都交響楽団、ソリストには人気のギタリスト村治佳織という豪華な公演を、しかも宝くじの助成もあって一般3千円という低料金で開催しました。これがなかなか売れなくて、始めるとしたらここしかないと思って北鹿新聞社に話を持ち込んだわけです。幸いすぐに載せてもらえることになりました。それまで1日1〜2枚の売り上げだったのが、第1回の桜町が載った日に150枚くらい売れたんですね。これにはメディアの力を再認識させられました。券売のために発想したものではないんだけど、しかし券売には欠かせないツールになってしまいましたね。企画段階では文化会館版「ちょっといい話」のつもりだったんですが。

山:3回目から登場しました。ブログと違い新聞に自分の書いたものが載るというのは、経験がなかったので結構プレッシャーでしたね。それでも、上手い下手はともかくやってみると結構書けるものだな、と。

工:14回の18年2月に初めて書いています。書けと言われて書いたんじゃなかったかな。読み手に向けてどう書けばいいのか分からず、かなり悩んだ覚えがあります。最近の悩みは、事業の説明に行数をとられて所感というか自分の気持ちをあまり書けなくなっていることですね。それと、エッセイ風に書こうとすると、ついグチっぽい方へ行きがち…。

山:それはオレもありますね。何で分かってくれないの、みたいな。あるいは、アンケートなどにそれ違うんだけど、という意見があったりしたときに。

陽:だいたいそういう時は僕からチェックが入る。明らかな間違いはともかく、お客様がどう感じるかは自由だからね。グチを言いだすとキリがないし多分読むほうも辛いので、なるべく明るい話題を出すように心掛けよう。って、今さら言わなくても君たちも分かっているんだけどね。

山:企画者として桜町通信は成功したと思いますか。

陽:成功だと思う。何よりお客様からの好意的な反応と励ましの言葉をいただくことが多いから。北鹿新聞の前副社長のKさんとか、プロに評価してもらえたのもうれしかった。
山 天満敦子さんの公演で桜町を書いたときに、天満さんの大ファンの方がわざわざ会館に来てものすごく喜こんでくれた。特別なことを書いたつもりもなかったんですが、好意的な言葉をもらうとうれしいし、励みになりますね。

陽:何の気なしに書いたところが意外に喜ばれることって、結構あるね。

山:ところで、そもそも「さくらまちだより」でなく「さくらまちつうしん」と読まれがちなタイトルはどうなんでしょう。

陽:漢字の通信でなく「桜町だより」にすればよかったかなとは少し思った。今さら変えないけど。このままでいいんじゃない、ネーミング自体はとても気に入ってるし。
工 タイトルといえば、その都度のタイトルについてはすごく悩む。中身を書くのはそれなりに慣れてきたけど。

……記事の内容や文章の書き方で意識していること、今後やってみたいことなど。

山:僕の書き方は、初めに落語のマクラ的な部分を置いて、「さて」と本題に入ることが多い。自主事業の説明だけでは単に仕事をしている感じだけど、それ以外の部分が書いていて楽しいです。比較的自分の口調に近い文章にしている、というかなっているというか。

工:記号を使ったりして文章が硬くならないようにとは心掛けている。テーマに微妙に近い話を導入部に持ってきたり。それがついつい長くなってしまうんだけど。

陽:読み返してみると文章に明らかにそれぞれのくせがあるし、色が出てるよね。もちろんそれでいいんだけど。自分のことでは、文末に(笑)と書けない。そこら辺で君たちとの年代差をすごく感じる。(笑)

工:留学中だったピアノの佐藤卓史さんにドイツから手記を送ってもらって載せたことがあったけど、面白かった。ああいうのを増やしたらいいんじゃないですか。

山:アーティストへのインタビューなんかもあれば面白いと思う。

工:自主事業案内のようなこれからのことだけでなく、終わった事業についてのフォローなんかもしていきたいですね。こんな面白いことがありましたとか、さりげなく言い訳もしたいときがあるし。

山:アンケートの意見や疑問にQ&A形式で答えるとか面白そうですね。事業の告知や案内に追われている感は確かにあって、そうじゃないこと、例えば単なる告知ではなくて、その舞台そのものの面白さとか裏話とかもっと書ければいいかな。それにグチじゃない部分の自分の思いを伝えられれば、と。

工:ほとんど同じなんだけど、会館職員ならではの経験や見聞きしたお話を皆さんに伝えていければと思います。

陽:北東北でいちばん多く自主事業を行っている文化会館だから月2回のペースでは告知に追われるのもしょうがない面があるけど、文化会館の使命を考えると、文化会館の中だけで完結すべきではないと思ってる。よそでこんな催しがある、こんなに頑張っている人たちがいるなんてところまでお知らせしていきたい。

山:「エチカの鏡」に出ていた近頃話題の「本のソムリエ」みたいに、ひとりひとりのお客様の隠れたニーズまで掘り起こして、ウチの公演だけでなくいろんな公演やイベントをお勧めできれば面白いかなと思っている。メディアで評判だからという判断基準じゃないものを提供できればいいな、と。そのためには、よほど勉強しなければいけないですが。

工:誰々がいいと言ってたから、というのは力がありますからね。いい意味で桜町通信も口コミ的な媒体にしていきたいと。

山:読んで楽しいものでありたい、というのは忘れないようにしたい。

工:桜町通信があるから市民と会館の距離が近くなっていると感じますね。

山・陽 そうそう。

……最後にそれぞれの抱負を一言。

陽:抱負と言えないかもしれないけれど、10年後の自分が読んで、楽しく仕事していたんだなあと思えることを書いていきたい。残り時間がそんなにないんで。

山:書いて楽しい、読んで楽しいものにしていきたいという心構えは忘れないようにしたい。それも、何というか爆笑編でなくニヤッとする感じの線を狙って。

工:難しくなく、小さい子どもから年配の人まで楽しく読んでもらいたいですね。その中で自分の色を出していきたい。

陽:せっかくだから100回の桜町通信をまとめて記念誌をつくりたいね、手作りでいいから。最後に、こんな我々の文章を載せていただいている北鹿新聞社の皆様に心からの感謝を。とくに記者時代からお世話になっているIさん、Wさん、いつもありがとうございます。原稿がギリギリにならないよう気をつけます。そして、いつも読んでくださっている皆様ありがとうございます。これからもどうぞ一声かけてやってください。

■さくらまち百回記念チケットプレゼントのお知らせ!!
9月1日(火)の「アメリカ陸軍音楽隊」のチケットをペアで5組10名の方にプレゼントします。明日8月22日(土)午前9時から先着順で、電話でのみ受け付けます。(文化会館49−7066)
プレゼントから漏れた方も気落ちしないでチケット買ってください。ぜったい楽しいですよ!
あとは宣伝ですが。明日22日(土)の「秋野倶楽部BAND―ステージライブ―」と、あさって23日(日)の「渡海千津子“愛”を歌う」もぜひ!どちらもリーズナブルで、当日も前売りと同一料金です。心が温まること、請け合います。