『じっくりと聴きたいチェロ』 (2005/11/18掲載)

いちばん好きな楽器は、と問われたら、私はチェロと答えます。音色といい音域といい、断然好みです。チェリストもいい。カザルスは言うに及ばず、ロストロポーヴィチ、フルニエ、ジャクリーヌ・デュ・プレ、ヨー・ヨー・マ……。そしてチェロのための音楽。サン=サーンスの「白鳥」にドヴォルザークの大傑作「チェロ協奏曲」、そして至高の名曲バッハの「無伴奏チェロ組曲」。平原綾香が低音で歌いだす「ジュピター」の旋律もオーケストラではチェロが奏でます。ああ、チェロの音を生演奏でじっくり聴きたい。

なんとも個人的な思い入れから入ってしまいましたが、そんなある日、藤原真理さんのリサイタルがおたくの会館でもできますよ、というお知らせが。藤原真理といえば、チャイコフスキーコンクールの2位入賞など華々しいコンクール歴を持つ日本を代表するチェリストではありませんか。しかも今年はデビュー三十周年という節目の年。しかもしかもギャラは、えっ、それでいいんですかというような好条件。ただし大ホールは不可。小さな会場でじっくり聴いてもらいたいということですが、多少残響が少なめですがいいんですか、いいんですよ、ということで、我が憧れの藤原さんのリサイタルが、大人二千円高校生以下千円という料金で実現してしまいました。ふつう四千円はしますよね。

そんな藤原真理チェロリサイタル「白鳥」ツアーのチケット発売状況は、横浜は既に完売。まあ当然ですね。大館は?まだあるの?皆さんまだ買えるんですよ、良かったですね。でも自由席だからといってのんびりしてたら、その内買えなくなるかも。え、売りたい気持ちが露骨に出過ぎだって?そうじゃないんです。藤原真理さんを聴かないのはあまりにもったいないと心から思うのです。よかったら文化会館のみどりライブラリーで、試しに「風のメッセージ」など風三部作を聴いてみてください。納得していただけるはずです。藤原さんのチェロ、本当に気持ちいいですから。 (陽)

追伸:三遊亭白鳥独演会本日午後七時開演。彩の国落語大賞受賞の「火炎太鼓」も口演します。本人撮影の寄席楽屋風景は必見です。当日券あり。ノリにノッている白鳥をお聞き逃しなく。(陽)