『落語を見続ける』 (2005/11/04掲載)

志ん朝独演会をやる!

文化会館に異動が決まって真っ先に思ったのはそのことでした。ただしその年の事業内容は既に決まっていましたから、翌年はきっとと心に誓ったものです。それが平成十三年四月のこと。そのわずか半年後の十月一日、日本中の落語ファンを呆然とさせた報道は志ん朝師匠の死去を告げるものでした。享年六十三歳。父の五代目古今亭志ん生の八十三歳より二十年も若い、早すぎる死でした。

生の志ん朝師匠をもう聴けないという喪失感は大きいものでしたが、それでも文化会館で定期的に寄席芸能の会を持ちたいという思いは消えませんでした。そこで、大町商店街きっての落語ファンHさんと共に考えたのが、活きのいい若手落語家をメインに低料金で提供するという、現在のおおだて特選落語会のスタイルです。大町では以前からハチ公プラザで落語会を催しており、若手のリーダー格柳家喬太郎さんと強い絆ができていました。文化会館の落語会も喬太郎さんの人脈を核に構成し、公演料もお友達価格でお願いすることにしました。それから四年、おおだて特選落語会のネタ帳には、喬太郎さんの他、人気の春風亭昇太さんや林家たい平さん、あるいは今や大看板ですが無理を承知で若手と同じ料金でお願いした柳家権太楼師匠などの名前が並んでいます。

若手中心の落語会を続ける楽しみの一つは、それぞれの落語家が伸びる様、変化していく様を見続けるところにあります。そして十一月十八日の八回目となるおおだて特選落語会には、記念すべき第一回の出演者であった三遊亭白鳥さんが再登場します。前回も期待に違わぬ爆笑落語でウケをとった白鳥さんですが、今年は「彩の国落語大賞」を受賞するなどますます大きな存在感を示しています。当落語会としては初めての独演会、当日は初の趣向として白鳥さんが撮影したビデオを映写します。何が写っているか、それは当日のお楽しみということで。(陽)