『世界で活躍するオペラ歌手』 (2005/09/16掲載)

今やスポーツや音楽の世界では海外で活躍する日本人も珍しくありません。大リーグや海外のサッカーのクラブチーム、ウィーン国立歌劇場などが、普通の会話にのぼる時代です。それでも、日本人が活躍しているのは比較的技術の占める割合の高いジャンルといえそうです。音楽でいえば小澤征爾や内田光子、五嶋みどりを筆頭に指揮、器楽が目立ち、反面声楽は指を折るのに苦労します。日本で人気があることと世界の舞台で活躍することには大きな違いがあるのです。

その声楽の世界にドイツから素晴らしいニュースが飛び込んできたのは昨年5月のこと。ドレスデン州立歌劇場でのR.シュトラウス「ナクソスのアリアドネ」に出演予定だったローラ・エイキンの急なキャンセルで、ベルリンの劇場に出演中の天羽明惠(あもう・あきえ)さんに白羽の矢が立ちました。オペラの世界で急な代役は珍しいことではありませんが、しかし今回の役は普通ではありません。準主役ながら人間業とは思われない至難の超絶技巧を要求されるツェルビネッタの役なのです。依頼からわずか3日後、天羽さんはこの役をみごとに歌いきり大成功を収めました。

世界で活躍している彼ら彼女らに共通するのは、数少ない、あるいはたった一度のチャンスをものにしたことです。天羽明惠さんも、大きなステップをみごとに乗り越え、これからますます大きな名前になっていくことでしょう。その天羽さんが大館にやって来ます。三井住友海上文化財団の助成による低料金も魅力のこのコンサート、実はたいへんなことなんです。

ちなみに、素顔の天羽さんはとっても明るいキャラだそうです。鈴木大介さんとのトークも楽しみですね。鈴木さんに触れるスペースがなくなりました。FMのパーソナリティとしても人気の若手の実力者、人柄の良さも魅力です。ぜひご自分の眼で耳でお確かめください。  (陽)